昭和からの贈りもの 第2章 大正時代

 2-20.大正11年・ポストカード   ・ 


古い写真と一緒に、たくさんの絵葉書やポストカードなども出てきました。

絵葉書などは袋に入り、【逗子二十景】や【上総竹岡名所絵葉書】【琵琶湖十六景】などの題名が付き、当時の景色や風景などが判るものが多いのですが、そうした記念はがきに混じって、人物中心のポストカードがバラバラに出てくることがありました。
景観や名所の絵葉書が多い中で、人物というのは、ある種《アート的》な感じがし、また随分と《庶民的》な絵葉書だと・・・と思っていました。
表にはPOST CARDとおしゃれな英語で印字されていますが、3枚目はフランス語のようです。

中には写真がとても小さく、文字を書くスペースが広く、《この頃の絵葉書にしては珍しいタイプ》と思いながら、整理は後回しにしていました。
そして、少しずつ整理しながら調べているうちに、これら人物中心の絵葉書は、買ったものではなく、自分達で撮った写真で作った、【オリジナルのポストカード】では?と気が付きました。

今でこそ、デジタルカメラで撮った写真をポストカードや年賀はがきにプリントすることは一般的ですが、大正時代に自分でカメラで撮影をし、オリジナルカードを作って、それを知人や親戚に出していたとは驚きです。


そう思い、改めて上の3枚を見直しましたら、3歳から4歳頃のお伯父が写っている事が判りました。
つまり、大正時代に子供のスナップ写真を撮り、それをポストカードにして知人や親戚に郵便で出していたようです。
そして上の写真の拡大です。



前述のように、子供をあしらった変わった絵葉書と思っていましたが、【大正11年・宮内写真館】や【大正11年・従兄弟の時の着物ときている柄が同だった事から、ようやく伯父が写っいるポストカードと判明しました。
家の門の前で撮影した単なるスナップのようですが、隣の女性は女中さんのようです。



こちらには《カシボート・ふじやへ・二号》という文字が見えますが、左端で頬かむりをしているのが祖父です。
伯父はカンカン帽の男性の前に座っているようです。


こちらも頬かむりが祖父で、抱っこされているのが次男で、横に立っているのが伯父です。
左端の女性は髪形が日本髪のようですが、水着の髷姿は珍しいですね。
後ろには《休所》という幕も見えますし、右手の家屋は茅葺のようです。
砂浜と言うより砂利っぽいので河原でしょうか?
とすると大正11年の夏に、多摩川などの河原へ知人の家族や子供たちと一緒に行った時の様子を、ポストカードにしていたようです。
1枚の写真ならわかりますが、こうして2枚の写真を組み合わせてポストカードを作っていたとは驚きです。




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