6-38.昭和16年・隅田川ボート 3 おばけ煙突 ← ・ → |
||||||||||||
その高さは83.8mと群を抜き、都内のいろんなところから、この煙突を見る事が出来たそうですが、隅田川沿いにあった事から、燃料となる石炭などは、隅田川を利用し、舟にて運ばれていたそうです。 この【おばけ煙突】という名前の由来も、 「見る位置によって大きな煙突が一本から四本に見え、まるでおばけのような煙突だった・・・」という説と、 「めったに稼動しないので、たまに出る煙が火葬場の煙のようだった・・・」 という説がありますが、確かに4本の煙突が菱形の位置関係で建っていた事から、見る位置によって本数が違って見えたようです。
当初は予備電気用として作られた発電所でしたが、戦時中は本格稼動され、その後老朽化の為、昭和38年には操業停止となり、翌年東京オリンピックの年に取り壊されましたが、この【おばけ煙突】はさまざまな映画や小説、アニメや漫画などにも登場しました。 特に吉永小百合さん主演の映画、「煙突の見える場所」は、この「おばけ煙突」が見える場所に住む夫婦を描いた作品で、昭和53年ベルリン映画祭 国際平和賞を受賞しています。 現在はこの煙突が立っていた場所は、東京電力の足立支社の建物や資材置き場なり、当然の事ながら煙突はありませんが、支社内には当時の写真が展示してありました。 その中で、許可を頂いて撮影したのが上の写真です。 また前述【かっぱ橋商店街】の浅草に近い【テプコ浅草館(東京電力)】でも煙突の写真や、ミニチュアの【おばけ煙突】が展示されており、見る角度によって煙突の数が異なる事を実際に確認する事も出来ます。
【おばけ煙突】があった千住桜木近辺を散歩しましたら、往時を思わせてくれるものがありました。 まず近くの旧元宿小学校の校庭には、この煙突の一部を利用した遊戯施設がありました。 当時の煙突の根元の部分を輪切りにし、それを半分にして遊戯具としたものです。
滑り台としては、幾分急降下のような感じで、小学生にはスリル満点かもしれません。 裏側には設置の際の経緯を記した四本煙突記念のプレートもありましたが、それによると、[下部直径6m・重量約3t・半円分]とあり、昭和40年1月に設置されたようですので、お化け煙突が取り壊しの翌年のようです。 その後40年間、この遊戯具を登ったり滑ったりして子供たちが遊んでいたようですが、この旧元宿小学校も合併して廃校となった為、今ではこの煙突の滑り台で遊ぶ姿も見えず、校庭の片隅にポツンと残っています。 既に学校の取り壊しも決まっているようですが、この遊戯施設の存続もどうなるかわからないようです。
この近くには【元宿堰稲荷】という神社がありますが、別名は【旧千住四本煙突守護社】と言うようです。 神社としては江戸時代の宝暦四年(1754)に、隅田川沿いの千住の総鎮守社として建立され、その後四本煙突建設の際の神事は、この元宿堰稲荷が取り仕切り、それ以来四本煙突守護社としてあったようです。
また千住新橋の近くには、【おばけ煙突】を屋根に模したお店もあります。 国道4号線を走ると目に入ってきますが、可愛らしい屋根に4本の煙突が立っており、このおばけ煙突が如何に下町のシンボルであったかが伺われます。 尚、【おばけ煙突】があった近辺を散歩している、古そうなコーヒーショップがあり、その看板には【ミルクホール】なる文字が見えました。 ミルクホールについては、【明治21年〜30年の出来事】にも記載しておりますが、ここもかつてはミルクホールだったのでしょうかね。
|
昭和の出来事(昭和13年・昭和14年・昭和15年・昭和16年) |