3-10.昭和5年・少年倶楽部・付録 ← ・ → |
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写真と一緒に古い雑誌やその付録が出てきました。 一つは当時伯父兄弟をはじめ、子供達に絶大な人気を誇った月刊誌、【少年倶楽部】の昭和5年5月号の付録です。 表紙には《両陛下御尊影》と印刷され、裏表紙には、《少年倶樂部第二百號記念附録》という記載があります。 そして中を開けると、昭和天皇両陛下の絵が入っていました。(写真下) この【少年倶楽部】は《おもしろくて、ためになる》のキャッチフレーズで大正3年に刊行された月刊誌です。 昭和5年頃は、ソーダー水が七銭でアイスクリームが十銭位、カレーライスが二十五銭だった当時に、一冊五十銭から六十銭という子供たちにとっては割高な価格だったにもかかわらず、圧倒的な支持を得ていたようです。 その人気は数字にも表れ、昭和4年には発行部数が50万部を突破し、その後益々部数を伸ばし、昭和11年には75万部を越す程となったようです。 そして少年倶楽部の本誌以上に写真のような付録の魅力もあったそうです。 「少年倶楽部の付録は毎号楽しみだったな〜。」 「カラーの印刷物や地図もあったが、紙で作る模型もけっこうあって、戦艦や飛行機といった大きなものは、1メートルはあったんじゃないかなぁ・・・」 と伯父も思い出していましたが、こうした豪華な付録が付くときは十銭程割高だったにもかかわらず、売れ行きは伸びていったそうです。 上は江戸東京博物館で展示されていたものですが、昭和7年新年号の付録の【軍艦三笠】の大模型です。 大きさはゆうに1mを越すものですが、この三笠の模型から、付録の大型化が一段と進んだとも言われています。 こうした模型を作ることも大変だったそうですが、企画する方も大変なことだったそうです。 これ以外にもこの頃の付録は時代の先端を進んでいたそうで、光る名古屋城があったり、昭和6年にエンパイヤステートビルがアメリカに建てられると、すかさず高さ1mはあろうかという紙の模型が付録になったそうです。 見つかった付録がきっかけで、何点か当時の付録を探してみましたが、みな興味深い付録ばかりです。
写真右上が【両陛下御尊影】です。 左は、同じ昭和5年の4月号の付録で、こちらは【大日本板地図】という、各県が切り抜く事ができ、つなぎ合わせると、軽く1mは越す大きさで、当時としては画期的な大型地図だったと思われます。 最下段は翌6年3月号の付録で、【関ヶ原合戦大絵巻】という、伸ばせば全長3mになろうかという、立派な絵巻物で、東軍西軍の武将が細かく描かれています。 中程のしおりは、昭和8年10月号付録で【しおり型學習博物館】という、世界中の名物から不思議な科学などをしおりにしたもので、80枚一組セットです。 そして真ん中は、キングという雑誌の昭和6年新年号付録ですが、【明治大正昭和大絵巻】というもので、明治から昭和5年までの歴史を、見事な絵図で表したもので、その長さはなんと10mにも及ぶ大作です。 ちなみに明治元年は西郷隆盛と勝海舟の会談の様子です。 こうした付録は今見ても見事なものばかりで、確かに子供たちは毎月の楽しみだったのでしょう。 |
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