6-36.昭和16年・隅田川ボート   ・ 


隅田川でのボート/昭和16年

この写真を見た伯父は、
「あ〜これは隅田川だ!大学時代のボートの練習の写真だなぁ・・・。確かこの日は風邪が強い日で、ボートを漕ぐのも結構大変だったよ・・・。」
と話をしてくれましたが、確かに写真をみると、遠くの船の黒い煙が、真横に流れているのが判ります。
この強風の中でのボートはさぞかし大変だったと思いますが、70年以上の前の記憶を、直ぐに思い出した伯父の記憶力に驚きました。



ボートと漕いでいるのが隅田川だとは判りましたが、どの辺で写真を撮ったかは覚えてはいないようでした。
が、写真の右側の堤防には、長い遊歩道のようなものと行灯らしきものが立ち並んでいるのが見えます。

更に遊歩道の先は工場のような感じですが、隅田川でこうした長く整備された遊歩道は少なく、ましてや70年前であれば、限られてきます。
また浅草側にはこのように長い遊歩道はないと思いますので、墨田区側の向島堤ではないかと思われます。


またこちらの写真の堤防には、ひときわ高いお寺の屋根のようなものも見えます。
この長く伸びた向島堤近辺のお寺と言えば、弘福寺か長命寺ですが、写真を拡大しましたらその特徴のある屋根が判りました。



隅田川沿いの弘福寺

現在はこの位置には首都高速道路の高架が走り、更に桜橋も架けられているため、隅田川沿いからはこうした広々とした景色は望めませんが、3本角が突き出たように見える屋根は弘福寺のようです。
そうしますと現在の言問橋近辺から桜橋方面の上流に向かって撮ったものと思われます。

更に3枚の写真を見比べますと、ボートに乗っている人の順番が違っています。
1枚目には肩幅のたくましいランニング姿の人が写っていますが、2枚目下にはいなく逆に伯父が写っています。
更に3枚目ではメガネの方がいません。
という事は、伯父たちは3人で交代しながら写真撮影をしていたようです。
そうだとしても、この風の強い状態で、大切なカメラを持ってボートに乗り、この狭い場所をお互い場所を移動しながら撮影しているとは驚きです。

下は現在の言問橋から見た隅田川です。


現在の言問橋から見た向島堤

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